サロン 第一部 シンポジウム “ブラインドスキーサミット2015” 報告

日時:2015年10月3日(土) 13:00~16:00
場所:二俣川 神奈川県ライトセンター 第一講習室A・B・C
参加者:総計59名

[ブラインド(B):20名、晴眼者(S):39名(うち、外部団体 B:7名、S:6名)]
*他に神奈川新聞、毎日新聞(点字毎日)の報道取材 2名
ブラインドスキーへの取り組みと今後の課題を団体の枠を超えて語り合うことを目的に、ブラインドスキーに取り組む県内外の四団体(TABS/だいすきークラブ/シー・ハイル/富山三つ星山の会)をお招きし、当クラブを含め五団体によるブラインドスキーサミット2015を開催しました。
当クラブの矢部さんが座長を務め、前半の第一セッションでは、五団体のパネラーによる各団体の生い立ち、組織、活動、誘導方法、パートナーの募集・育成方法・課題などの発表がされました。当クラブは藤田功三さん(B)、衣笠健一さん(S)がパネラーとして登壇されました。
休憩を挟んで、後半の第二セッションでは、各団体のパネラーによる質疑・応答がされ、誘導方法やパートナーの育成方法などについて活発に意見交換がなされました。各団体のこれまでの歴史と経験、知見を踏まえた情報の提供もあり、ブラインドスキーに取り組む仲間相互の情報共有が進みました。また、会場からの質問もあり、参加者全員の理解も進みました。
このシンポジウム開催で、他団体との交流の第一歩を踏み出すことができました。この第一歩を一歩で終わらせることなく継続的な歩みとして、ブラインドスキーの「継続・維持から発展・向上に」、更に「飛躍へ」と繋がるよう全クラブ員で31年目以降の活動に活かしていきましょう。
当日は、神奈川新聞、毎日新聞(点字毎日)の取材もあり、4日(日)の神奈川新聞に本シンポジウムの記事が掲載されました。

神奈川新聞より記事を引用

視覚障害者スキークラブ 活動30年 魅力伝え 横浜でシンポ
視覚障害者が雪上を滑走するブラインドスキーの魅力や課題を共有するシンポジウムが3日県ライトセンター(横浜市旭区)で開かれた。「かながわブラインドスキークラブ」(同区、渋谷清二会長)の30周年記念事業で、県内外の5団体約60人が参加。各団体が企画するスキーツアーのノウハウを伝え合い、安全な誘導方法やパートナーの確保策などについて議論を深めた。
「まち中ではゆっくりとしか進めない私たちにとって、あれだけのスピード感、解放感はスキーでしか味わえない。ほおで感じる冷気や足裏の感触でスピードを推測しながら、長距離を自分の意思で自由に曲がり進む。本当に楽しい」
同クラブ初代会長で全盲の男性(76)=中区=は、ブラインドスキーの魅力をこう語る。
視覚障害者の障害レベルや技術に応じ、前後を滑る1~2人の晴眼者パートナーが地形や方向、障害物、雪の状態、他のスキーヤーの動きなどを伝えながら誘導するブラインドスキー。視覚障害者と赤十字奉仕団、県ライトセンターのボランティアらによって1985年に結成された同クラブは、年2~4回のスキーツアー、シーズンオフには体力づくりのハイキングなどを行ってきた。設立当初10人だった視覚障害者は現在31人で、半数は全盲。66人の晴眼者がサポートに当たる。
この日のシンポには、同クラブのほか「だいすきークラブ」(港北区)なども参加し、誘導方法やスノーボーダーへの対策、晴眼者パートナーの確保・育成などについて熱心に議論。渋谷会長(弱視)は「いろいろな方に支えられ30年を迎えることができた。ブラインドスキーの発展に結びつけば」と、シンポ開催の狙いを話していた。
電子版:カナロコ by 神奈川新聞

サロン 第二部 懇親会 報告

日時:2015年10月3日(土) 18:00~20:30
場所:桜木町 H×3(エイチ バイ スリー)
参加者:総計60名
[現・旧会員及び家族 B:22名、S:38名(うち、外部団体 B:3名、S:4名)]
ライトセンターで行われた<サロン>第一部「ブラインドスキーサミット2015」に引き続き、横浜みなとみらいの夜景を楽しめる桜木町のレストラン H×3(エイチ バイ スリー)にて、かながわブラインドスキークラブ30周年記念事業<サロン>第2部「懇親会」が賑やかに執り行われました。
現在活動中のクラブ会員は勿論、5年ぶり、10年ぶりという懐かしい方、<サロン>第1部「ブラインドスキーサミット2015」のパネラーとしてご協力くださった外部団体の方も一部ご参加くださり、楽しく飲み、食べ、語らいました。また、会場では、かながわブラインドスキークラブ30年間の思い出の写真もスライドショーで上映しました。
さらに、30周年記念Tシャツも作成し、事前に希望された方に販売しました。
「この仲間だから・・・」をテーマに、ブラインドスキークラブの過去、現在、未来へと繋がるような場として<サロン>は企画されました。
久々の再開を喜び合う声、ブラインドスキーについて熱く語り情報交換する声、未来に向けて夢膨らませる声、会場内はそんな明るく楽しい声であふれていました。
ブラインドスキークラブの始まりから現在まで、繋がりそして広がってきたこの仲間の輪は、今回の<サロン>で知り合った新しいブラインドスキー仲間とともに、さらに大きな仲間の輪になりました。そして、「この仲間だから、また新しい一歩を踏み出して行ける」ことと思います。

参加者からの声

30周年記念事業“サロン”に参加された方々が感想文を投稿してくださいました。以下にご紹介します。

TABS(Tokyo Association for Blind Skiers)

この度、ブラインドスキーサミット2015に参加させていただき、TABSの活動について紹介できたことをこの場を借りてあらためてお礼申し上げます。
私たちTABSは設立から12年、都盲協時代を含めると20年活動を続けてきました。その間、ツアーの実施方法、サポーターの確保、適切な機材の確保など、様々な課題に試行錯誤してきました。今回、サミットに参加して他のクラブの活動や直面する課題を知ることができました。課題の中には共通するものも多く、今後クラブ間が連携していくことの必要性を感じました。各クラブの発表を聞き、ディスカッションする中で感じたことは、各クラブが活動を続けてきた歴史の重みです。それは“スキーを楽しみたい”“雪と戯れたい”“仲間を大切にお互い笑顔になりたい”そういう気持ちが支えてきたのだと思います。
スキーは視覚障害者にとって決して気軽にできるスポーツではありません。その活動を視覚障害者と健常者が共に関わりながら長く活動を続けていることにすばらしい価値があると思います。これからもこの活動を続けていきたいと思います。
TABS一同

だいすきークラブ

かながわブラインドスキー創立30年記念“ブラインドスキーサミット2015”に参加して
10月3日神奈川県ライトセンターにて、ブラインドスキー団体TABS、だいすきークラブ、シー・ハイル、三ツ星山の会、かながわブラインドスキークラブの5団体のクラブ紹介が行われ、クラブの歴史、活動状況、誘導方法、サポーターの募集育成、現在の課題など各クラブの代表より報告が有りました。どこのクラブも会員、パートナーの高齢化、パートナーの人員不足、ツアー費用の高騰などの現状報告後、意見交換を行いました。
各クラブそれぞれに、毎年2~3回のツアーを計画し、伴走パートナーも1~2名で実施しているようです。だいすきークラブでは、原則として人員が確保できれば安全確保の為、2名が欲しいのですが、特に若い世代のサポーター不足に苦慮しています。誘導方法もマイクを使って、ブラインドスキーヤーへの方向指示に加え、他のスキーヤーに注意させる事も必要ですので、備品の準備費用も負担になっています。パートナーの募集も当クラブは、全日本学生スキー連盟にお願いしていますが、学生スキーではポイントレースが毎週あるため、なかなか日程が確保できません。
ツアー費用の高騰で、参加者の出費が問題ですが、宿泊費、リフト代等格安で提供してくれるスキー場を、各クラブの情報交換で情報共有するとともに、共同して多方面に働きかけることも必要でしょう。
これからも各クラブで情報を集め交流を深めて行きたいと思います。

シー・ハイル

30周年にお招きいただきまして、ありがとうございます。
神奈川県ブラインドスキークラブ結成30周年、本当におめでとうございます。そして、五つの団体を一堂に集めてのシンポジウム開催、大変有意義な機会を作ってくださり、ありがとうございました。
私たちシー・ハイルは1歳年下なのですが、皆さまの活発な活動の様子を聞かせていただき情報交換ができてよかったです。どこのクラブもパートナー集めに苦労されていたのが印象に残りました。そして、様々な課題はありますが、いつまでも視覚障害者がスキーを続けることができて、また、多くの人たちに楽しいスキーが広がっていけたらと思いました。
懇親会にも参加させていただき、アットホームな雰囲気で、会員でなくてもとても居心地がよく楽しかったです。しばらく参加されていなかった方へのインタビューも、微笑ましく感じました。私にもマイクが回ってきましたので「どこかのスキー場を貸し切って、各地のブラインドスキークラブが大集合して滑れたらいいですね」と、ある方が言っておられた言葉を紹介させていただきました。
今回のサロンをきっかけに、また情報交換や交流の機会があるといいですね。準備など大変だったかと思いますが、この後の北海道ツアーもどうぞ楽しんできてください。どうも、ありがとうございました。

富山三つ星山の会

この度は貴クラブ30周年記念事業「サロン」に参加させていただき、ありがとうございました。誘導法や課題など非常に有意義な情報交換と競技に関する啓発理解の機会となり、また、関係する皆様方と貴重なる交流を図らせていただきました。特に、拡声器利用による誘導や、当会は地元での日帰り行事ですがツアーを組まれる他団体の積極的な活動状況など当会会員に報告、大変に参考、刺激となりました。ここに改めて、貴クラブ30周年そしてその素晴らしい伝統に対し、心からの敬意と祝意を表します。また、今行事開催にあたり、数々の懇切丁寧なる御配慮に対し厚く御礼を申し上げます。誘導に関し差異のない当会の取り組みを自信としつつ、貴クラブの同一負担等の運営に学びパートナー不足をはじめ抱える諸課題の共通性を理解し、今サロン一員に加えていただいたことを誇りとして、より一層、発展へ尽力したいと考えます。今後とも末永く交流いただけるよう宜しくお願い致します。

かながわブラインドスキークラブ

30周年シンポジウムを終えて!
2015年10月3日(土曜日)多くのブラインドスキー仲間が集った。以前より、総会や役員会の時などで、「同じようにブラインドスキーをやっているグループと、交流を持ちたいね」と言う話はあったのです。それが、クラブ発足30周年と言う機会に実現したのです。
10月3日の午後、神奈川県ライトセンターに多くのスキー仲間が集いました。TABS、シー・ハイル、だいすきー、遠くは富山から三つ星山の会の皆さま、そして久しぶりの懐かしいかながわブラインドスキークラブのブラインドと晴眼者!
各グループのお話では、発足の経緯、運営方法、何処のスキー場で?費用は?誘導の仕方など、今後かながわブラインドスキークラブで参考になる話もいろいろあったのでは? そして、共通の悩みとしては、高齢化、晴眼パートナー不足ですね。とても有意義な交流だったと思います。これを機会に連絡を取り合い、より良いブラインドスキーが続けられるといいですね。最後になりましたが、この素晴らしい会を成功させてくれた、サロン実行委員会の皆様のご苦労に心より感謝いたします。

かながわブラインドスキークラブ

スキーツアー実行委員長より、サロンに参加して
ひとりの参加者として、このような機会をご提供いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
シンポジウムでは他BS団体の組織運営やツアー運営等について知ることができ、また、懇親会では意見交換を通して、ツアーにおける課題への対案等についての情報共有ができました。私自身、大変有意義で楽しい時間を過ごすことができました。
30周年記念行事の企画において、懇親会の開催のみにとどまらず、他のブラインドスキー団体とのシンポジウムの実現という大きな目標を掲げ、2年半という長期にわたってご準備をなされたとお聞きしております。
このような大きな企画を実現するにあたっては、実行委員会全体で何度も困難に立ち向かい、企画に携わった方お一人お一人に想像を絶するご苦労があったとお察しします。
しかしながら、それらも一致団結した実行委員会の底力で乗り越え、当日の運営、司会進行、参加者受付/誘導、移動、会場設営/片づけ、全てにおいて各ご担当者の方”がご自身の役割を完璧にこなしたことで、サロン企画大成功というクラブ設立初めての快挙を達成したのではと、個人的には思います。本当に「クラブの発展」につながる行事だったと思います。
これからはツアー実行委員会において、本格的に両ツアーの実現に向けて取り組んでまいりますが、役員会とも連携しながら、「安全で確実な両ツアーの実現」を目指し頑張っていきたいと思います。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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